【キャッチコピー】
これはよもぎ蒸しの良さを伝えるだけではない、
個人の体験と専門知識が詰まったプロ向けのノウハウ本 です。
温めるだけじゃ、もったいない。
信頼と“また来たい”が生まれる、よもぎ蒸しの本。
よもぎ蒸しが「選ばれる施術」になる、知識と提案のすべて。
第1巻『“また来たい”が生まれる よもぎ蒸しセラピスト入門』
第1章|よもぎ蒸しの基本と座器・道具の選び方
はじめに
よもぎ蒸しは、体を温めるだけのものではありません。
心に寄り添い、自分を大切にする“きっかけ”になってくれる、不思議な力を持っています。
私自身、冷えや不調、長年のストレスからくる肌荒れや不安定な体調に悩まされていた時期がありました。
そんな中で出会ったのが、よもぎ蒸しです。
初めて体験したときの「芯から緩む」ような感覚。
終わった後、心までほどけるような安らぎ。
それは、私にとって“自分を取り戻す時間”でもありました。
この体質に生まれたからこそわかること、伝えられることがある。
そう思いながら、私は施術者として、お客様お一人お一人と丁寧に向き合ってきました。
ありがたいことに、
「悩みがやっと軽くなりそうです」
「初めて“わかってもらえた”気がしました」
そんな言葉をいただくたびに、
施術というのは、ただのケア以上の“出会い”や“安心感”を届けるものだと実感します。
私自身、このよもぎ蒸しを通じてたくさんの出会いがありました。
10年以上サロンを続けてこられたのも、施術を通じて喜んでくださるお客様、
そして同じように温活や自然療法に向き合う仲間たちのおかげです。
最近では、よもぎ蒸しを取り入れるサロンも増えてきました。
でも同時に、「正しい使い方がわからないまま導入してしまった」
「お客様にどう説明していいか悩んでいる」
そんな声も多く届いています。
この書籍は、そんな方々に向けて、
これまでの私の10年間の経験、失敗、気づき、そして“うまくいったこと”も惜しみなくまとめた一冊です。
情報が溢れる今だからこそ、
本当に自分に合ったケアを続けられるように。
そして、そのサポートをするセラピストさんやサロンの方たちが、
自信を持って“目の前のお客様”と向き合えるように。
この本が、その一歩になることを願っています。
そして、よもぎ蒸しを通じて、
もっと多くの人が、自分を大切にするきっかけを手にし、
その温かさがまた誰かに届いていく――
そんな“巡り”が広がっていく未来を、一緒に育てていきましょう🌿
1-1|よもぎ蒸しとは?〜粘膜吸収と“深部からの温め”の力〜
📘このセクションでわかること: よもぎ蒸しの起源や特徴、他の温熱療法と異なる「粘膜吸収」の特性について、基本的な理解が深まります。
よもぎや薬草を煮出し、その蒸気を専用のマントで下半身から取り入れることで、
粘膜や皮膚から薬草成分を吸収し、体の内側からじんわりと温めるのが「よもぎ蒸し」です。
特に子宮や腸といった骨盤内の臓器を“粘膜ごしに”温められるという点は、他の温熱療法にはない特徴です。
下半身には太い血管が集まっているため、そこを温めることで全身の巡りも促進されやすくなります。
また、マントにくるまっているあいだの静かな時間は、呼吸が深まり、副交感神経が優位になるため、
心身のリセットや「自分と向き合う時間」としての効果も感じる方が多くいらっしゃいます。
◎ よもぎ蒸しで期待できる効果の一例
- 冷え性の改善
- 生理痛・PMSの軽減
- 更年期の不調サポート
- 自律神経の安定化
- 便秘や肌荒れの緩和
- 妊活・不妊に関するケア
- 深いリラックス・睡眠の質向上
よもぎ蒸しは、単なる「温め」ではなく、
**身体と心の両方に働きかける“体験型ケア”**として、多くの女性に支持されています。
1-2|座器の種類と選び方
座器(椅子)の素材は温まり方やよもぎ蒸しの効果と体感を大きく左右するとても重要なポイントです。
現在、よもぎ蒸し用の座器は大きく以下の3種類に分かれます。
🟤 黄土(おうど)製座器(陶器)
韓国伝統の座器で、最も効果が高いとされる本格派タイプ。
遠赤外線効果が高く、自然な温かさと薬草成分の活性が期待できる。
✔ 遠赤外線効果があり、体の芯から温まりやすい
✔ 黄土のミネラルが蒸気と一緒に体内に取り込まれると言われる
✔ 保温性が高く、薬草の有効成分がじっくり立ち上がる
✔ 重厚感があり、サロンの“本格感”も高まる
⚠ デメリット:
- 非常に重い(10kg以上)
- 割れ物のため取り扱い注意
- 価格も他素材に比べて高価
💬 一言で言うと:
「効果重視・本格派の方向け。黄土そのものが“薬”と考えられていることも。」
当サロンでは、この「黄土製」の座器を使用しています。その理由は、蒸し上がりの温かさがやわらかく、香りの立ち方が自然で、何よりお客様から「包まれているような感覚になる」と言っていただけるからです。
体の深部までじんわりと温まる感覚、座っているだけで心までほぐれていくような体験は、黄土ならではの魅力です。
🪵 木製座器
日本国内でも多く見られる、あたたかみのあるナチュラルタイプ。
肌当たりがよく、自然素材のぬくもりを感じられる。
黄土ほどの保温力はない。
✔ 熱伝導が緩やか
✔ 木の香りがリラックス効果を高めることも
✔ 軽くて持ち運びしやすい
✔ 見た目もナチュラルで空間になじみやすい
⚠ デメリット:
- 遠赤外線は出ない
- 使用後は湿気が残りやすく、カビ対策など衛生面に注意
- 年数が経つと木の劣化・色変化が出ることも
💬 一言で言うと:
「手頃な価格で始めたい方、空間の雰囲気を大切にしたい方に◎」
♻️ プラスチック製座器
軽くて扱いやすいが、化学的な臭いや熱による劣化を気にされるお客様も多い。
✔ お手入れが簡単、洗浄・消毒しやすい素材
✔ 軽量で移動がラク、耐久性も◎
✔ サロン導入コストが抑えられる
⚠ デメリット:
- 熱が抜けやすく、温まりにムラを感じることも
- 化学臭が気になる方もまれにあり
- 高級感・自然素材の温もりはやや控えめ
💬 一言で言うと:
「コスパ重視や、移動型・家庭用に選ばれるタイプ」
🌟 まとめ:素材による違いとサロンでの活かし方
素材 | 特徴 | 向いているタイプ |
---|---|---|
黄土 | 遠赤外線・薬効・保温性◎ | 効果重視・本格ケアを求める方 |
木製 | やさしい温まり・香りの癒し | ナチュラル・やさしさ重視の方 |
プラスチック | 扱いやすさ・手入れ簡単・コスパ良 | 初心者・家庭用・移動型導入 |
お客様にも椅子の特徴を軽く説明してさしあげることで、「質の高さ」や「安心感」を伝えることができます。
✍️ ミニコラム①|オンドルについて
韓国では古くから“黄土”は、建築や生活の中で「体を芯からあたため、湿気を調整してくれる素材」として使われてきました。
特に有名なのが、**オンドル(温石床)**という床暖房システムは体を芯から温め、自然の恵みで癒す知恵が詰まっています。黄土を敷き詰め、その下から火を通すことで、部屋全体がまろやかな熱で包まれるようになります。
ただ温かいのではなく、じんわりと深部に届くような温かさ。
この“芯から温まる感覚”が、よもぎ蒸しの座器にも活かされているのです。
✍️ ミニコラム②|現代での黄土の活用例
黄土の遠赤外線効果・吸湿性・解毒作用などが見直され、今ではさまざまな商品にも使われています。
たとえば:
黄土ボール:お風呂に入れると温浴効果UP・アイマスクやカイロにも
黄土パック:毛穴・毒素ケアとして美容用に人気
黄土布・寝具:体を冷やさない自然素材の寝具や腹巻きにも
自然の素材が、現代でもしっかりと“癒し”に活かされている。
そんな背景を知ることで、黄土製の座器の良さも、より伝わるのではないでしょうか。
1-3|よもぎの質と産地にもこだわる理由
よもぎ蒸しの主役である「よもぎ」も、その品質によって香り・温熱効果・肌や粘膜へのやさしさが大きく変わります。
特におすすめしたいのが、“江華島(カンファド)産のよもぎ”。
- 韓国・江華島は海風が強くミネラルが豊富な土壌で育つため、よもぎの香り・成分がとても上質
- 当サロンで扱う江華島よもぎは、3年・5年とじっくり熟成されたものを使用
- 灰汁がしっかり抜けており、蒸した際に壺の中が濁らないのも特徴
香り非常に深く、敏感肌やアレルギー体質の方にも負担が少ないのが魅力です。
時間をかけて乾燥・保存されることで余分な湿気が抜け、香りと成分がより凝縮されます。
特に5年熟成は、香ばしさの中にまろやかさがあり、リラックス効果や精神面の安定にも非常に優れています。
また、よもぎだけでなく、体調や目的に合わせて他の薬草をブレンドすることで、より深い効果と心地よさを引き出すことも可能です。
1-4|はじめて導入するなら、まず何が必要?
「よもぎ蒸しを始めたいけど、道具が多そうで不安」
そうおっしゃる方も多いです。
でも、実際に必要なものは以下の通り。シンプルです:
-
座器(できれば黄土製 or 安全な木製)
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蒸気を発生させる電熱器 or コンロ
-
専用マント(厚手のものが良いでしょう)
-
よもぎ(+ブレンド薬草)
-
ステンレス or 黄土製の鍋(薬草を煮出す用)
-
浄水(不純物の少ないお湯)
-
タオル(無香料・無添加で洗濯したもの)
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座布団・シート用クッション(必要に応じて)
-
カップ(白湯などの飲み物)
シンプルながらも、「どれだけ丁寧に用意できるか」が、お客様の満足度に大きく影響します。
この章でお伝えした内容が、あなた自身の導入判断や、自信を持ってお客様に説明するための支えとなれば嬉しいです。
📝まとめ
よもぎ蒸しをサロンの看板メニューとして育てるには、
「素材」「道具」「環境」へのこだわりが信頼を生むポイントになります。
お客様に「また受けたい」「ここで受けてよかった」と思っていただけるために、
まずは“何を使うか・なぜ使うのか”を理解し、選び方に自信を持つことが大切です。
この基本を押さえたうえで、次章からは実際の準備やカウンセリング、提案方法へと進んでいきます。
日々の現場で気づいたことや、お客様の声から見えてきた配慮のポイントなどを、丁寧に紹介していきますね。
このあと順に:
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第2章「施術前の準備と注意点」
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第3章「体温と免疫、冷えの本質を知る」
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第4章「信頼されるセラピストになるために」
の本文初稿をお届けしていきます。
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